ケアスマイル通信 №23 「Q.鍼は深く入れたほうが効果が高いの?」「A.浅い鍼でも効きます!」
- 水口 貴成
- 2023年12月22日
- 読了時間: 6分
更新日:3月27日
皆さんこんにちは!
西宮市甲子園口 はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイルの水口です。
ケアスマイルは、痛み・しびれ・麻痺でお悩みの方に向けた痛み専門の鍼灸マッサージ院です。
軽い肩こりから、肩の痛み、五十肩、腰痛だけでなく、顔面神経麻痺や頭痛、片麻痺といった神経内科的な症状に対して、鍼灸治療を中心に施術を行っています。
今回のテーマは「鍼の刺入深度」、いわゆる入れる深さについてです。
以前、患者様からこのような話がありました。
「昔鍼治療を受けたとき、かなり浅いところに刺してましたけど、鍼って浅くても効果があるの?」
「深く鍼を入れたほうが効果が高いんじゃない?」
結論から言うと、これはその患者様の症状の原因となる部位の深さによって変わります!
なので、深く入れると効果があるというのは、正解であって、不正解でもあります。
イメージとしては、深く鍼を入れると刺激が強い!
深いところにある筋肉を刺激できる!
マッサージなどの指の入らないところも刺激できる!
直後の効果を実感できる!
といったことが想像できるため、鍼を深く入れると効果的!というのは、イメージしやすいと思います。
ですが逆に浅く入れた鍼でも効果がある、もしくは浅く入れないと効果がないという患者様もいるのも事実です。
なので、今回はなぜ浅く入れた鍼でも効果が出るのかについて説明していきます。
なお、今回はツボの効果、経絡治療といった東洋医学的な概念は省かせていただきます。
当院でも問診・検査をとおして、患者様の状態によっては浅い鍼のほうが効果的だと感じる場面が数多くあります。
この記事を読んでいただき、当院の治療に対する考え方を知っていただきたいと思います。
まずは皮膚~筋肉までの構造について
皮膚から筋肉の基本的な構造
まず最初に、皮膚から筋肉までの構造について、簡単に説明します。
表層に皮膚があり、筋肉の皮膚との間には脂肪組織で埋められています。
専門用語でいうと表面から、表皮、真皮、皮下組織、筋外膜、筋肉となります。


さらに細かく言うと、皮下組織のなかには、浅筋膜と深筋膜があり、筋肉の表面は筋外膜という構造でおおわれています。
いわゆる「筋膜を刺激する」というのは、この浅筋膜、深筋膜、筋外膜などが当てはまります。
特に皮下組織の中にある浅筋膜、深筋膜に関しては表面から数㎜程度であり、浅い鍼でも十分刺激することができます。
痛みを感じている部位について
人間の体には至るところに痛みを感じるセンサーがあります。
そのセンサーが刺激されると神経を介して脳に伝達され、痛みとして認識されます。
すなわち、痛みは神経で感じていることになります。
従来では、「筋肉が凝っているから痛い」、「姿勢が悪いから痛い」、「関節が固まっているから痛い」という風に結びつけていましたが、実際はセンサーが刺激されて、神経で痛みを感じ取っています。
痛みを感じる神経が分布するところには様々な問題が生じています。
主に痛みを感じ取っている部位として次のものがあげられます。
・真皮
・浅筋膜層
・皮下組織
・深筋膜層
・筋外膜
・腱上膜、靭帯
・関節包
これらの部位には、痛みを伝える神経が多く分布しており、わずかな刺激でも痛みとして感じます。
これら神経の周辺の組織が「癒着」「凝集」することをなじみのある言葉で
いわゆる「コリ」と言います。
ではどこに「癒着」が生じているのか・・・その答えがファシアという言葉にあります。
皆さんはファシア、もしくはファッシアという言葉を聞いたことがありますか?
ファシアとは、全身にある臓器を覆い、接続し、情報伝達を担う網目状の構造部をさします。
筋膜はこのファシアの一部のことを指します。
このファシアにできた「癒着」をはがすことをファシアリリース、もしくは筋膜リリースと表現されています。
鍼治療でファシアリリース
先ほども触れた筋膜というのは、比較的表層にあり、この筋膜上にできた癒着を鍼治療でもリリースすることが出来ます。
特に近年では超音波エコーを用いて、浅筋膜、深筋膜、筋外膜、筋肉とそれぞれ目的とする部位ごとに刺激する方法が確立されつつあります。
超音波エコーを用いることで、癒着している部位を特定し、その部位に的確に鍼を入れることで、通常の鍼治療よりも高い効果が期待されています。
通常の鍼治療の場合は、施術者が感じている鍼先の感覚のみで深さを決めており、本当に適切な深さになっているのかどうかの判断はできません。
そこは治療家としての経験年数にもよりますが、超音波エコーを用いることで、患者様もファシアの状態を視覚化することができるため、より効果的な治療につながります。
話がそれましたが、最初の結論から言うと、癒着しているファシアもとい筋膜を刺激するのであれば、浅い鍼でも高い鎮痛作用を発揮することできます!
鍼治療が鎮痛作用を引き起こすメカニズムについては、下行制疼痛抑制系、内因性オピオイド、末梢性鎮痛など様々ありますが、今回は割愛させていただきます。
その患者様の状態がファシアの癒着によるものであれば、浅い鍼の方が効果的なのかもしれません。
最後に一言
なんでもかんでもファシアが原因だ!
とは言えません。
やはり治療をしていくなかで、原因となっている部位が分かることもあります。
当院では、ファシアの癒着か関節の問題なのかなど、しっかりとした西洋医学的な理論に基づいて、問診・検査等を行っています。
患者様に合わせた鍼をオーダーメイドで実施しているので、その患者様にとって、より効果的な深さで対応させていただいております。
近々、ファシアの癒着に対してさらに効果的な鍼治療をするために、最新の検査機器も導入する予定です。
ご興味がありましたらぜひ当院で治療を受けてみてください。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。
この記事を書いている人
水口貴成
はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル院長(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう師)
施術スタイル:現代鍼灸
~経歴~

平成24年 神戸市立盲学校 卒業
あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師国家資格を取得
平成27年 筑波大学理療科教員養成施設 卒業 教員免許状取得
平成28年 医科大学東洋医学科 研修生 修了
平成29年~令和4年 特別支援学校(盲学校) 理療科教諭 勤務
令和5年 西宮市甲子園口 はり・きゅうマッサージ院 ケアスマイル 開業
急性・慢性的な痛みに悩む患者さんへ、鍼灸マッサージ師として、できることを日々全力で取り組んでいきます。地域の方の健康の維持・向上に努めながら、皆様の抱える辛い痛みを鍼灸マッサージで少しでも和らげて、笑顔あふれる日常を過ごしていただく、そんな治療院を目指しています。
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